「発達障がい」は、身近にあるけれども、社会の中で十分に知られていない障がいでした。
また、「発達障がい」のある人は、特性に応じた支援を受けることができれば十分に力を発揮できる可能性がありますが、従来はその支援体制が十分ではありませんでした。
このような背景を踏まえ、発達障がいについて社会全体で理解して支援を行っていくために、平成17年4月から「発達障害者支援法」が施行されています。
発達障害者支援法において、「発達障がい」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がいその他これに類する脳機能障がいであってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
急に予定が変わったり、初めての場所に行ったりすると不安になり動けなくなることがよくあります。そんな時、周りの人が促すと余計に不安が高まって突然大きな声を出してしまうことがあります。周りの人から、「どうしてそんなに不安になるのかわからないので、何をしてあげたらよいかわからない」と言われてしまいます。
でもよく知っている場所では一生懸命、活動に取り組むことができます。
他の人と話している時に自分のことばかり話してしまって、相手の人にはっきりと「もう終わりにしてください」と言われないと、止まらないことがよくあります。周りの人から、「相手の気持が分からない、自分勝手でわがままな子」と言われてしまいます。
でも、大好きな電車のことになると、専門家顔負けの知識をもっていて、お友達に感心されます。
大事な仕事の予定を忘れたり、大切な書類を置き忘れたりすることがよくあります。周りの人にはあきれられ「何回言っても忘れてしまう人」と言われてしまいます。
でも、気配り名人で困っている人がいれば誰よりも早く気づいて手助けすることができます。
会議で大事なことを忘れまいとメモをとりますが、本当は書くことが苦手なので、書くことに必死になりすぎて、会議の内容がわからなくなることがあります。
後で会議の内容を周りの人に聞くので、周りの人から、「もっと要領よく、メモを取ればいいのに」と言われてしまいます。
でも、苦手なことに少しでも楽にできるように、ボイスレコーダーを使いこなしたりと、他の方法を取り入れる工夫をすることができます。
発達障がいは「先天的なハンディキャップなので、ずっと発達しない」のではなく、発達のしかたに生まれつき凸凹がある障がいです。人間は、時代背景、その国の文化、社会状況、家庭環境、教育など、多様な外的要因に影響を受けながら、一生かけて発達していく生物であり、発達障がいの人も同様であると考えていいでしょう。つまり、成長とともに改善されていく課題もあり、必ずしも不変的なハンディキャップとは言い切れないのです。もちろん個人差はありますが、「障がいだから治らない」という先入観は、成長の可能性を狭めてしまいます。周囲が彼らの凸凹のある発達のしかたを理解しサポートすることにより、「ハンディキャップになるのを防ぐ可能性がある」という視点をもつことは重要です。
一方で、発達障がいは一つの個性だから配慮は必要がないと考えるのも行き過ぎです。現在では、成人になった発達障がい者が、小さい頃から配慮が受けられず困難な環境の中で苦労して成長してきたことを教えてくれる本なども出版されてきています。
発達障がいの子も、家の中に閉じこもっているだけではなく、町の中で様々な行動のしかたやルールを学んでいきます。しかし、発達障がいのこどもが騒いだり、パニックを起こしたりしているときに「何で親は厳しく叱からないんだ」と周囲をイライラさせてしまう場合があるかもしれません。しかし、発達障がいの子の中には、少しの時間待ってあげる方が、無理に叱るよりもずっと早く混乱から抜け出すことができることもあります。
道路で寝ころんでしまったときなどは、移動させるのを手伝って貰うと家族は助かりますが、沢山の人が一斉に近づくことは逆に興奮させてしまうこともあります。上手に発達障がいの子の混乱に対応できなくても、「あれは発達障がいの子のパニックだ。そのうち落ち着くだろう」と知識を持っていてくれるだけで、本人も家族もずいぶん楽になるのです。
(出典:厚生労働省「発達障害の理解のために」)
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